学校のホームページ制作で失敗しないために、広報担当者や校長先生は、ホームページを作る目的を明確しておくことが重要になります。
目的がぶれてしまうと思ったホームページができず、制作費用や時間を無駄にしてしまう可能性があるためです。
学校の形態やおかれた状況によって多少変わってきますが、ここでは私立中高のホームページ制作に20年以上携わってきた私の経験からお話をさせていただきます。
この記事を読むことで、ホームページ制作を目的を明確にし、失敗しない考え方が身につきますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
学校にホームページが必要な理由
そもそも学校にホームページが必要な理由は何でしょうか?
簡潔に言うと、受験生とその保護者向けに、「学校生活」「入試情報」そして「雰囲気」を伝えるためです。
当たり前のことじゃないかと思うかもしれませんが、この目的がぶれてしまうことが実は意外と多いのです。
例えば、広報担当者ご本人はその気はないのですが、結果的にホームページの造りが目的からぶれているものになっているということがよくあります。
ホームページ制作の目的がぶれる原因
学校内でホームページの担当者になると、各方面からこんなことを言われることがあります。
- 校長のメッセージを変えるから、みんなが目に付くところに載せておいて
- 在校生の保護者用に年間行事の予定を、1年中、目に付くところに掲載して
- 卒業生からクレームが入って、卒業証明書の取り方がわからないから目立つようにして
- 野球部が地区大会で優勝したから、大々的にとりあげて
これらの要望をまじめに反映して、すべてを目立つようにした結果、メニューが細分化されたり、バナーが10個も20個も並んだり、結局情報にたどり着きにくいホームページになってしまうのです。
しかし、ホームページを作る際に「ぶれない目的」を持っていることで、どんな掲載依頼が来ても、何が重要なのか優先順位をつけて、適切な場所に適切な情報を掲載できるようになります。
結果的に、それが閲覧者にとって、親切で見やすいホームページになるのです。
ホームページ制作の目的をぶらさないために考えるべきポイント
では、ホームページ制作の目的をぶらさないために何から考えていけばいいのでしょうか?
閲覧者(ターゲット)は誰?
まずは、閲覧者が誰で、何を求めてきているのかを考えていきます。
そのためには、誰がホームページを見に来ていて、その割合はどのくらいなのかはっきりさせる必要があります。
想定される閲覧者は、以下のような感じになるかと思います。
- 受験生と保護者
- 在校生と保護者
- 卒業生
- 受験業界関係者(塾・業者など)
ここで、
- どんなときにアクセス数が増えるか?
- よく見られているページは?
など、現在のホームページのアクセス数を確認してみてください。
おそらく学校説明会や入試の時期にアクセス数が増え、説明会日程や入試要項へのアクセス数が多いはずです。
つまり、ホームページへのアクセス数に最も影響するのが1番のターゲットであり、その答えは「受験生と保護者」なんです。
なので、受験生と保護者の立場から、知りたい情報にすぐにアクセスできるホームページすることが最大の目的となります。
在校生や卒業生は考えなくていいの?
学校のホームページの主なターゲットは受験生と保護者になりますが、在校生や卒業生のことは考えなくていいかというと、もちろん、そんなことはありません。
在校生や卒業生への情報提供も、重要なホームページの役目です。
しかし、「受験生と保護者」に比べれば、在校生や卒業生のアクセス数は少なくなります。
在校生と卒業生に対しては、ヘッダーやフッターに、入口をひとつ付けておけば大丈夫です。
これにより、どのページを見ていても目に入る場所に在校生・卒業生向けの情報への入口があるため、彼らにとっても使いやすい構成となります。
重要なことは、在校生・卒業生に関する入口を、他に作らないように気を付けることです。
学校ホームページの閲覧者が求めているものは?
先にも確認したように、学校のホームページでは説明会日程や入試要項へのアクセス数が多いはずです。
アクセス数が多いということは、当然ニーズの高いコンテンツになります。
説明会日程や入試要項などのニーズの高い情報は、
- 情報がわかりやすく整理されている
- トップページに限らずどこのページからもすぐにアクセスできる
といった工夫をしておく必要があります。
では、それ以外の教育方針・沿革・部活動などは、力を入れたページ造りをしなくていいのかというとそんなことはありません。
ニーズの低いコンテンツでも、閲覧者によって重要な内容のこともあるため、ひとつひとつの情報については、手を抜くことなく、作っていく必要があります。
しかし、ひとつひとつの情報をどのくらい目立たせるのか判断するために、アクセス解析などからニーズの高い・低いをつかんでおくことは重要です。
学校のホームページでは雰囲気を伝えることが最も重要
最後に学校のホームページを作る上で最も重要な「雰囲気を伝える」ということについてお話します。
閲覧者のニーズを満たすために必要な「雰囲気を伝える」ということを見逃している学校ホームページが多いです。
いや、うちの学校は、
「写真を多く載せている」
「ブログを多く更新している」
という声も聞きます。
もちろん、そこから多くの雰囲気を感じ取れますので、ここも重要です。
しかし、多くの学校で伝え切れていないことがあります。
それは生徒・先生・卒業生などの「学校に関わる人たちの気持ち」です。
それに対しても
「在校生や卒業生の声を載せている」
「教科別に先生を紹介している」
といった声を聞きます。
しかし、在校生は写真がよく出てくるのですが、拝見する限り、先生や卒業生はおまけ程度に掲載している状態のため、わざわざ「卒業生の声」や「教員紹介」ページを見に行って、しっかり読み込まないと伝わってきません。
卒業生のインタビューを載せる
受験生は、将来、自分がどうなっているのか、卒業生にどんな人がいるのが気にします。
卒業生は、多くのパターンでインタビュー形式のページを用意してほしいと思います。
大学在学中の方や、古い卒業生から新しい卒業生まで、さまざまな職種で活躍している方から、母校に対する気持ちを語ってもらってください。
掲載場所は、卒業生のページを設けるのではなく、コース紹介・学校行事・部活動のページなど、関連する場所に掲載した方が自然に目に入り、伝わりやすくなります。
そして、できるだけ多くのパターンの声を用意しておくことで、多くの閲覧者の共感を得ることができます。
どんな先生がいるのかを載せる
受験生は、入学後、目の当たりにする「先生」がどんな人たちなのかすごく気にしています。
「うちの学校は説明会などに来てもらうと、先生たちが素敵!とファンになってもらえるんですよ」という声も聞きます。
それは、素晴らしいことなのですが、その学校のホームページには、ほとんど先生が登場していませんでした。
つまり、学校に来る前に先生方がどんな人たちなのかわからない状態だったんです。
おそらく、その受験生たちは、恐る恐る学校説明会に訪れています。
もっと気軽な気持ちで、できればワクワクしながら来てもらいたいですよね。
学校説明会に来るときには、知らないことを得に来るのではなく、知っていることをを確認して、より確信を持ってもらうという状況にできれば、ホームページは最高に役目を果たしていると言えるのではないでしょうか。
学校に来る前から、先生の個性や考えがわかれば、より学校に来てもらえる人の数も増える可能性が高まります。
なぜなら、来てもらったときに「素敵な先生」と感じられる先生は、ホームページに出てきても「素敵な先生」だからです。
そのためにも、特定のページだけでなく、あらゆるページで先生が語りかけている造りにすることを強くおすすめします。
「雰囲気」とは「人の気持ち」なのです。
写真だけでは伝わり切らないことがあります。
校長先生の教育方針だけでなく、そこで働いている「先生」方の多くの「気持ち」を伝えることが、学校の雰囲気全体であり、多くの受験生・保護者の「共感」を得られるはずです。
ぜひ、ホームページ造りの大事な方針のひとつに、先生方の「気持ち」を伝えることも加えてほしいと思います。
学校ホームページの目的まとめ
最後に学校のホームページの目的をまとめると、受験生とその保護者向けに、学校生活・入試情報そして「学校に関わる人たちの気持ち」を伝えることです。
この目的を念頭に置いて制作することで、ぶれない素敵なホームページになると思いますので、ぜひご参考いただけますと幸いです。